銀行のディスクロージャー誌って何が書いてあるの?説明する際のポイントは?

ディスクロ
銀行の活動内容や業況を知るためには何を参考にしたら良いですか?
それなら各金融機関が出している「ディスクロージャー誌」を見てみると良いよ!

銀行は経営内容の開示のため、「ディスクロージャー誌」というものを発行しています。

お客さんや株主などの利害関係者(ステークホルダー)向けに作られていて、「ディスクロージャー誌」を見れば銀行の活動内容や財務内容を知ることができます。

しかし、このディスクロージャー誌はかなりのボリュームがあり、専門用語も含まれるため全てを把握することは難しいと思います。

正直、銀行員でも自行の「ディスクロージャー誌」を読み、詳細を説明できる人は数少ないと思います。

そこで今回は、「ディスクロージャー誌」についての簡単な解説と、理解したり説明する際のポイントを解説していきたいと思います。

就活生や投資家の方は、銀行の良し悪しの判断に「ディスクロージャー誌」を使ってみてください。また、金融機関の方はこの記事の説明ポイントを参考にしてみてください!

ディスクロージャー誌って何?金融機関はなぜ公表しているの?

ディスクロージャーとは、企業の情報開示(財務内容や業務内容など)の総称です。

英語の「ディスクローズ(disclose):明らかにすること。発表すること。」から来ている言葉です。

また、「ディスクロージャー誌」とは、その経営内容をまとめた冊子のことを言います。

実は、銀行ではこの「ディスクロージャー誌」を開示しなくてはいけない決まりになっています。

銀行法等で、金融機関は“貸借対照表・損益計算書を公告する義務”“業務・財産状況に関する説明書を主要な営業所に備え置いておく義務”が課せられているのです。

金融機関はお客さんのお金を預かり、それを融資や有価証券などに回して運用しています。その社会的責任の重さから、経営内容をしっかりと開示することが求められています。

だから金融機関の営業店には、「ディスクロージャー誌」を備え置いているんだね。

以上は堅苦しい理由になりますが、金融機関にとっても「ディスクロージャー誌」は活動内容をアピールするための材料になります。

そのため、銀行によっては写真やイラストを使ったりして、一般の人が見やすいような工夫が凝らされています。

ホームページでも閲覧可能

「ディスクロージャー誌」はほとんどの金融機関がホームページでも掲載しているので、わざわざ営業店の窓口に行かなくても見ることができます。

就活生や投資家の方は、グーグルやヤフーなどの検索エンジンに「○○銀行 ディスクロージャー」と打ち込むか、ホームページの「当行について」や「株主・投資家のみなさまへ」というページを探してみてください。

ちなみに、最近では手間や経費削減の一環で冊子の作成部数を少なくして、ホームページの方を閲覧してもらうよう働きかける銀行が増えているのだとか…マイナス金利の影響ですね。

ディスクロージャー誌には何が記載されているの?

「ディスクロージャー誌」の記載内容は大きく2つに分けられます。

1つは金融機関の活動内容・経営方針などを示した部分、もう1つは財務内容を示した部分です。金融機関によっては内容によって分冊(2冊に分ける)にしていたり、前半はカラー、後半はモノクロといった具合に分けている所もあります。

また、その中でも法律で開示が義務づけられている事項と、金融機関が任意に開示(紹介)している事項に分けることができます。

ちなみに法律で開示が義務づけられている事項は、次のようなものが挙げられます。
    <法律で開示が義務づけられている事項>

  • 経営の組織、営業所の名称および所在地などの概況および組織に関する事項
  • 貸借対照表・損益計算書などの決算書類、自己資本比率
  • (直近)事業年度の営業の概況
  • 直近5事業年度の主要な経営指標等の推移 などなど
金融機関が任意で掲載している事項は、次のようなものが挙げられます。
    <金融機関が任意で掲載している事項>

  • 代表者のご挨拶
  • 経営計画概要
  • 社会貢献活動(CSR活動)
  • 地方創生への取組み
  • 地域密着型金融の取組み
  • 商品・サービスの紹介 などなど

大まかな構成は各金融機関、それほど大きな違いはありません。

ディスクロージャー誌・ミニディスクロージャー誌の違い

「ディスクロージャー誌」は、半年に1回発行されます。

3月(決算期)までの業況をまとめたものを「ディスクロージャー誌」9月(中間期)までの業況をまとめたものを「中間ディスクロージャー誌」とそれぞれ呼びます。

また、上記のディスクロージャー誌を発行する少し前に、「ミニディスクロージャー誌」と「中間ミニディスクロージャー誌」がそれぞれ発行されます。

この「ミニディスクロージャー誌」は言わば、“ディスクロージャー誌のダイジェスト版”となります。

「ディスクロージャー誌」は数十ページから100ページ超で構成されるため、一般の人が見るにはハードルが高すぎます。

そこで特に重要な記載内容を抜き出し、一般の人でも読みやすいようにまとめたのが「ミニディスクロージャー誌」になります。

例えば、お客さんや就活生、投資家の方にとっては、この「ミニディスクロージャー誌」だけで十分な記載内容になっています。

「ミニディスクロージャー誌」は営業ツールとしても活用することができるよ!
ちなみに、ディスクロージャー誌の開示は義務づけられていますが、ミニディスクロージャー誌については義務となっていません。しかし、利便性の観点から作成している金融機関が多いのが特徴です。

ディスクロージャー誌を見るポイント&説明するポイント

それでは、お客さんや就活生、投資家の方は「ディスクロージャー誌」のどこに着目して見れば良いのか。金融機関の役職員は、どこを説明すれば良いのか。ポイントを見ていきましょう。

ポイント①:社会・地域貢献活動

メガバンクであれば社会貢献活動、地方銀行や信用金庫であれば地域貢献活動に着目してみてください。

もちろん金融機関の大命題は、資金を循環させ、そのうえで利益をあげることですが、それはどこの金融機関でも同じこと。

それ以外の活動に、その銀行のスタンス特色が出てきます。

また、社会貢献活動・地域貢献活動をしっかりしている銀行はこの部分をアピールするため、写真やイラストなどを交えたり、ページを割いたりして力を入れています。

そのため、一般の人には1番分かりやすく、親近感がわく掲載内容となります。

就活生はこの辺りの掲載内容を志望動機に織り交ぜてみると良いかもしれませんね。

ポイント②:収益性

通常の企業の売上高にあたる「経常収益」や、本業の儲けを表す「業務純益(※)」などの推移を見てみましょう。

※業務純益:銀行が預金や融資などの業務(本業)で、どれだけの利益を上げたかを示す銀行特有の指標。

マイナス金利の影響でこれらの指標は低下傾向にありますが、下げ止まっていたり、直近で上昇している場合は上手く対策が立てられているということになります。

また、もっと簡単に“貸出金の推移”を見てみるのも良いと思います。

銀行の収益は「貸出による利息収入」が大半を占めます。厳密に言うと「貸出量×利率」が収益となりますが、この「貸出金」が伸びているだけでも、ある程度は業況の良し悪しが判断できます。

さらに、その金融機関単体だけで見るのではなく、近隣他行や同じような規模の金融機関と比較することで、その金融機関が置かれている状況や課題、位置づけなどを把握することができます。

ただし、むやみに貸出をして不良債権が増えたら意味がありません。次の健全性と合わせて見る必要があります。

ポイント③:健全性・安全性

銀行の健全性や安全性を見るのによく使われるのが、「自己資本比率」「不良債権比率」です。

「自己資本比率」は、国内のみで営業をする金融機関(国内基準行)は4%以上、国外でも営業する金融機関(国際基準行)は8%以上ないといけないといった決まりがあります。

現状、この基準に引っかかる金融機関はありませんが、マイナス金利などの影響で8%を下回る国内基準行が少し増えてきました。

この自己資本比率が下降傾向だと、銀行経営にも制約が出てくる(例えば信用での貸出が増やせない、株などの有価証券を積極的に買えない等)可能性もあるので、注意が必要です。

「不良債権比率」は、貸出に占める回収困難な債権の比率です。

この数値が高いと、貸出先の倒産などにより、収益が悪化する恐れがあります。

最近ではほとんどの金融機関が低水準を維持しており、そこまで気にされなくなりました。

しかし、不況時等においては金融機関によって差が出るため、景況感と合わせて気にかけておく必要はあります。

ポイント④:店舗・ATM網

ネットバンクが普及してきていますが、やはりお客さんにとっては気になるところ。

また、個人的には1番お客さんとの話のネタになる部分だと思います。

自行庫の営業店舗・ATMの場所をお客さんに紹介すると、

  • 「私は昔、この辺りに住んでたんですよ!」
  • 「職場だけじゃなくて自宅の近くにもあるから利用しているよ!」
  • 「ここにもATMがあるなら助かるわね!」
  • 「お店の近くをいつも通るけど、気付かなかったな(笑)」←これは少し残念w

といった感じで話が繋がっていくことが多々あります。

ディスクロージャー誌は金融機関の説明書

このように、「ディスクロージャー誌」には金融機関の経営に関する情報がたくさん掲載されています。まさに“金融機関の説明書”と言っても過言ではありません。

また、前述のとおり「ディスクロージャー誌」を使うことでお客さんとの対話のキッカケ作りができたりします。

「ディスクロージャー誌」は要点さえ掴めば、営業ツールにもなる便利な道具です。金融機関の方は、上記のポイントだけでも説明できるようにしておくと安心です!

本当に稀にですが、お客さんから「ディスクロージャー誌」の説明を求められることもありました。急に聞かれても困らないように、ポイントだけでも簡潔に話せるようにしておくと良いですよ!

金融機関の職員でもあまり見ることがない「ディスクロージャー誌」ですが、改めて読んでみると意外におもしろいので、時間がある時に是非1度、目を通してみてください!


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