2018年7月13日、東日本銀行(コンコルディアFG)が金融庁から業務改善命令を受けました。
【引用】
東日本銀行HP:当行に対する業務改善命令について(PDF)
金融庁HP:株式会社東日本銀行に対する行政処分について
業務改善命令の内容を以下にざっくりまとめてみました。
目次
業務改善命令を受けた理由
東日本銀行が業務改善命令を受けたのは、今回、「法令等遵守態勢」、「顧客保護及び顧客本位の業務運営態勢」、「経営管理態勢」について、以下の問題が認められたためです。
理由①:顧客の利益を害する業務運営を行っていたため
- 対価となるサービスや算出根拠が不明瞭な融資実行手数料を徴求
- 実質的に両建となる担保定期預金を徴求
- 上記の融資実行手数料は、利子補給付き制度融資の実行先(中小零細企業)から徴求している事例が多数存在
- さらに、手数料の徴求が禁止されている制度融資の実行先からも徴求している事例が多数存在(⇒制度融資の目的や趣旨を逸脱)
理由②:支店における不適切な融資と態勢の不備があったため
- 営業成績を上げるため、特定の副支店長が、特定のグループから紹介された営業エリア内に実態の融資先について、当該融資先に営業所の登記を行わせ、支店長を欺いて支店長専決権限を行使させるといった不適切な融資を多数実行し、結果として多額の損失が発生
- 上記と異なる複数支店において、支店長が当行OBを通じて紹介された営業エリア内に実態のない融資先について、当該融資先の営業所の登記を行わせ、融資資金で市場価格を大幅に上回る不動産を購入すること等を知りながら、支店長専決権限により融資を実行し、多額の損失が発生
- なお、上記と類似性のある不適切な融資は、過去にも別の支店において発生しているが、当時策定された再発防止策の根本原因分析等が十分ではないため、同様の不適切な融資が再発している状況
理由③:本部の牽制機能が欠如していたため
- 監査部は事務面の監査しか行っておらず、上記の融資実行手数料や実質的に両建となる担保預金の徴求及び不適切な融資が繰り返されていることを発見できていない
- また、融資部、営業統括部による支店の営業に関するモニタリングにおいても、多額の融資実行手数料の徴求や不適切な融資等の早期発見に至っていない
理由④:投資信託販売業務における虚偽報告等があったため
- 投資信託販売や投資信託購入者に対する事後対応について、数多くの支店において多数の職員が実態と異なる虚偽報告等を行っている
- また、投資信託購入者に対する事後対応について、前回の当局検査において同様の指摘がなされているが、当時の再発防止策は抜本的な改善策とはなっておらず、実態と異なる虚偽報告等が再発
理由⑤:収益確保やOHRの低下を優先し、内部管理態勢の整備を疎かにしたため
上記①から④までの問題発生の要因としては、役職員の法令等遵守や顧客保護及び顧客本位の業務運営に関する意識が乏しい企業文化となっている中、経営陣が新規取引獲得に偏重した営業姿勢の下、収益確保やOHRの低下を優先し、業務の適切性を確保するための内部管理態勢の整備を十分に行ってこなかったことが根本原因であると認められる。
一部省略・加工しましたが、業務改善命令を受けたのは以上のような理由になります。
これにより、東日本銀行には「健全かつ適切な業務運営を確保するため、内部管理態勢及び経営管理態勢を見直し、強化すること」が求められています。
続く不正融資。銀行の収益構造はもはや限界なのか?
不正融資に関しては、商工中金やスルガ銀行も最近話題にあがったばかりですね。
当然、不正融資を行うのは問題外なのですが、ここ最近、立て続けに不正融資が発覚しているのを見てると、銀行の収益構造に限界がきてるのも原因の1つなのかなと思ったりもします。
正攻法で利益を上げている銀行は良いのですが、不正をして利益のかさ上げを行っている銀行は、金融庁に指摘され、淘汰されていく流れができてきているのかも・・・
金融庁もこれからは「不適切融資が行われていないか?」といった所に焦点を当てて、銀行のモニタリングをしていくのではないかと予想されます。
銀行の収益構造が厳しいのは事実ですが、不正をしてまで利益を出しても意味がありません。それこそ、その銀行の存在意義が疑われてしまいます。
このあたりで再度、銀行業界全体で襟を正す必要があるのかもしれませんね。
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